なぜ任天堂は業績が悪化してもレイオフを行わないのか?
先週チェックしていたニュースで、こんな記事があった。
要約すると、任天堂の岩田社長はレイオフに関して以下のことを懸念しているから実施しないと株主総会で説明している。
・レイオフ対象とする従業員の特定が困難である
一見利益を出していない部署であっても、それ以外の意味で間接的に会社へ貢献している場合もあるので一概に判断できない。
・中長期的に見ても会社のためにならない
確かに短期的にはコスト削減になるが、引き替えに残された従業員のモラールは著しく低下する。そんな従業員が不安に怯えて作ったソフトウェアが、果たして顧客の心を動かすことはできるのか疑問である。
僕も岩田社長の考えには賛成であり、特に終身雇用制を前提とした多くの日本企業が経営難に陥った場合、まずは従業員全員の給与を削減する方法を考えるべきであろう。
さらに経営責任に応じて給与カット比率を変更すれば、社内のポジションが高いほど(経営責任が大きいほど)給与の削減率が大きくなり、従業員のモラールも低下するどころか上昇する可能性もある。
特定の誰かに痛みを押しつけるような経営というのは、これからは長い目で見て支持を得られないんじゃないかな。
これは決して雇用調整そのものが悪いというわけではなく、シリコンバレーのようにレイオフという手段が広まっていて、終身雇用制を前提としていないため雇用の弾力性が高く再雇用が比較的容易である地域においては事情が変わってくるかもしれない。
ただそれでも企業における社内の公平性担保は従業員のモチベーションに大きな影響を与えることは間違いないので、なるべく全員で痛みを分配するところから議論をスタートすべきであろう。なかなか難しいとは思うのだけどね。