藤圭子さんの訃報を聞いて、ふと村上春樹のエッセイを思い出した

すごく昔に書かれた「村上朝日堂」という書籍に(確かanの前身である日刊アルバイトニュースに連載していたんじゃないかと思うけどどうだったけ?)「僕の出会った有名人(2)」というタイトルの文章が掲載されている。おそらくこの連載と同じタイミングで宇多田ヒカルを出産しているのが興味深い。

 

小さなレコード店でアルバイトしていた筆者のところに、その頃すごく売れっ子だった本人が一人でこっそり自分のレコードが売れているかどうかわざわざ聞きに来たことをあげて、それから彼女にずっと好感を持っているという話だった。

 

でもそんな彼女の姿勢を見て、筆者は同時に「この人は自分が有名人であることに一生なじむことができないんじゃないか」という印象を持ったと述べている。

 

結局のところ、彼女が何を思って西新宿の高層マンションの13階から飛び降りたのかは僕にはわからないけど、でももしかしたらこの世界で生きていくことにずっとなじむことができなかったのかもしれない。

 

ご冥福をお祈りします。